古民家プロジェクト
古民家的住まいと暮らし つながりをデザインする
2018年の秋にドイツに渡り、あっという間に2年が経ちました。
渡独の目的は今後の仕事の為にドイツに身を置いて体感と共にいろんなことを見聞きしたいということでした。
異国のデザインや文化から刺激を受けることも目的でしたが、環境・森林先進国の現状やマイスター制度による職人さんの仕事ぶりなどには特に興味を持っていました。たかが2年ではそのほんの一部しか見聞きすることが出来ていないと思いますが、それでもいろいろと勉強になりました。
ドイツに滞在し一年が過ぎたころから、改めて今後の自分の仕事について考え始め、興味が深まっている分野があります。
それが古民家です。
日本人なら「古民家」という言葉でおおよそ同じイメージを持つことが出来るので、とりあえずそう書いてみたものの実際には古民家でなくてもよいのですが...。
つまり、まだ残っている「良質なストックの活用」による、自然が身近な住まいや暮らし、手仕事の技術継承に寄与する仕事にもっと携わりたいと強く思うようになったのです。
ドイツには日本以上に古い建築が多く、現役で使い続けられています。
構造や暮らし方は日本と異なりますが、維持改修や建物に対する考え方から学べる部分は多いように思います。
私は高気密高断熱省エネ住宅のトップランナー的なドイツに対して、既にほぼ全ての住宅が省エネ住宅になっているというイメージを持っていましたが、2050年の気候中立(CO2を100%削減)目標にはまだ道半ば。現時点では達成率40%と途上中だったのです。
そして同じ目標を目指すドイツ国内の建築関連だけでも、様々な工法や考え方が存在することは興味深いです。
こういったところからも学ぶべきことが多いと思います。
古くて寒い古民家的建築を現代の暮らしに合うように
そのような視点でもう一度日本の住宅や暮らしについて考えたとき、まだ活用可能で良質な物件や素材を放棄しておいて、まだまだ新築を建てていることに以前以上に違和感を覚えるようになりました。
古くて寒い古民家的建築を現代の暮らしに合うように、ノスタルジーだけではなくリアルな住環境として活用させることは可能だと考えます。
多様なライフスタイルやコロナで加速したリモートワークにより住む場所や暮らし方もさらに選択肢が増えそうです。
しかし、実際に親身に相談できるアドバイザーや設計士、施工業者や顔の見える作り手を見つけることは情報があふれた現代にもかかわらず簡単ではないかもしれません。
地震や災害の多い日本で安心して古民家的建築で自分らしい暮らしをしたい人へ向けてMorizo-ができることを提供していけたらと思っています。
木構造、耐震設計、自然素材、手仕事の技術、職人さんや素材生産者さん、シンプルで欲張らない建築、素材を活かした残したくなる空間、など...
これまで学んできたことや関わってきたことが古民家的建築の活用では素直に活かせるように思います。
設計士として見た目以外の部分も丁寧に関わり、つながりをデザインすることも大切な仕事だと感じます。
今後Morizo-の延ばしたい分野として、古民家的住まいと暮らしのデザインに力を力を入れていきたいと思います。